期間限定薄桜鬼ブログ
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アイシスさまから可愛いおにぎり画像をいただいてきましたv
すごい可愛いです。
思わず並べたくなります!!
ということで、以前、管理人さまにネタだけ語ったおにぎりのお話を小咄にしましたv
ED後の斎藤×千鶴。斗南の五戸あたりに入植したばかりの、ほのぼの話です。斎藤さんが着物の裾まくって鍬ふるっててもOKなかたのみ、右下のタイトルからどうぞ///
すごい可愛いです。
思わず並べたくなります!!
ということで、以前、管理人さまにネタだけ語ったおにぎりのお話を小咄にしましたv
ED後の斎藤×千鶴。斗南の五戸あたりに入植したばかりの、ほのぼの話です。斎藤さんが着物の裾まくって鍬ふるっててもOKなかたのみ、右下のタイトルからどうぞ///
**********
斗南の夏。拓かれたばかりの小さな畑にも、周囲の雑木林の上に昇った太陽から燦々と陽が降りそそいでいた。
ゆるい方形の畑の一角には倒木が積み上げられ、近くには根ごと掘り起こされた切り株が置かれている。岩や小石が山になっている所もあり、それらは開墾に並みならぬ労力が要ったことを静かに語っていた。
その倒木の脇を抜ける坂道を、風呂敷包みを片手に持った千鶴が降りてきた。
幾つかツギのあてられた薄紅色の小袖姿。男装をする必要の無くなった千鶴は伸びた髪を右脇で結び、左側に少し大人びた項(うなじ)をさらしていた。
細かく皮の剥けた指先を倒木にかけ、身を隠すようにしながら畑を覗き込む。楽しそうに微笑む頬の上を、土の香を含んだ風が撫でていった。
「はじめさん」
呼びかけられた斎藤が鍬をふるう手を止めた。
着物の裾を上げ、袖を襷でくくって畑に立つ断髪姿は、新選組三番組組長として恐れられた「斎藤一」とはほど遠い。だが千鶴の呼びかけに微塵も動ぜずにこりと笑んで寄越した余裕に、油断無く周囲の気配を読む習慣は抜けていないと知れる。
あっさりと悪戯を看破された千鶴は一瞬口元を尖らせたが、すぐに陽に溶けるような笑顔を浮かべた。
「お昼にしませんか」
千鶴が片手に抱えた小さな風呂敷包みを示すと、斎藤は頷いて裾を直し、畑の脇、開墾の廃材が置かれていない木陰へと向かった。
そこには最低限の手荷物と、斎藤の愛刀が置かれていた。
野の草の緑鮮やかな木陰へと二人は並んで腰を下ろした。花の色も垣間見える緑。レンゲソウ。ドクダミ、ハギ、ナデシコ、ツユクサ。
斎藤は、草花の名の多くをこの斗南で覚えた。
千鶴に教えられたのだ。
医者の一人娘である千鶴は本草(ほんぞう)やら博物やらの本を手習いに、また一人の寂しさをやり過ごす共として育っており、薬になる草も食せるものも或いはそうでないものも、良く知っていた。
「はい、どうぞ」
そんな草花が木漏れ日に揺れる中で、千鶴は良く絞った濡れ手拭いを斎藤に手渡した。土の付いた手を拭い汗の滲む首筋を拭えば、緩い風が水気を払ってゆく。
斎藤が手拭いを脇に置くと、千鶴は膝の上に広げた風呂敷包みから小さな笹駕籠に詰めた雑菜の煮物と、一つのおにぎりを取り出した。
「これで、お夕飯の分のお米は無くなってしまうからちょっと悩んだんですけど……」
千鶴の、少し荒れた白い指がおにぎりを二つに割る。
「お互いのお茶碗に少し入ってるより、こっちのほうが幸せかなって……」
千鶴は二つに割った塩むすびの片方を、俯きがちに、おずおずと差し出しながら頬を染めた。
斎藤は少し首を傾げて千鶴を見た。
頬だけでなく、千鶴の晒された項から耳までがほんのりと染まっていく。
斎藤はくすりと笑みを零した。
「……いただこう」
斎藤の柔らかい声に、千鶴はぱっと顔を上げる。
その笑顔が、輝く夏の緑よりも眩しかったのか。
斎藤はゆるりと目を細めた。
斗南の夏。拓かれたばかりの小さな畑にも、周囲の雑木林の上に昇った太陽から燦々と陽が降りそそいでいた。
ゆるい方形の畑の一角には倒木が積み上げられ、近くには根ごと掘り起こされた切り株が置かれている。岩や小石が山になっている所もあり、それらは開墾に並みならぬ労力が要ったことを静かに語っていた。
その倒木の脇を抜ける坂道を、風呂敷包みを片手に持った千鶴が降りてきた。
幾つかツギのあてられた薄紅色の小袖姿。男装をする必要の無くなった千鶴は伸びた髪を右脇で結び、左側に少し大人びた項(うなじ)をさらしていた。
細かく皮の剥けた指先を倒木にかけ、身を隠すようにしながら畑を覗き込む。楽しそうに微笑む頬の上を、土の香を含んだ風が撫でていった。
「はじめさん」
呼びかけられた斎藤が鍬をふるう手を止めた。
着物の裾を上げ、袖を襷でくくって畑に立つ断髪姿は、新選組三番組組長として恐れられた「斎藤一」とはほど遠い。だが千鶴の呼びかけに微塵も動ぜずにこりと笑んで寄越した余裕に、油断無く周囲の気配を読む習慣は抜けていないと知れる。
あっさりと悪戯を看破された千鶴は一瞬口元を尖らせたが、すぐに陽に溶けるような笑顔を浮かべた。
「お昼にしませんか」
千鶴が片手に抱えた小さな風呂敷包みを示すと、斎藤は頷いて裾を直し、畑の脇、開墾の廃材が置かれていない木陰へと向かった。
そこには最低限の手荷物と、斎藤の愛刀が置かれていた。
野の草の緑鮮やかな木陰へと二人は並んで腰を下ろした。花の色も垣間見える緑。レンゲソウ。ドクダミ、ハギ、ナデシコ、ツユクサ。
斎藤は、草花の名の多くをこの斗南で覚えた。
千鶴に教えられたのだ。
医者の一人娘である千鶴は本草(ほんぞう)やら博物やらの本を手習いに、また一人の寂しさをやり過ごす共として育っており、薬になる草も食せるものも或いはそうでないものも、良く知っていた。
「はい、どうぞ」
そんな草花が木漏れ日に揺れる中で、千鶴は良く絞った濡れ手拭いを斎藤に手渡した。土の付いた手を拭い汗の滲む首筋を拭えば、緩い風が水気を払ってゆく。
斎藤が手拭いを脇に置くと、千鶴は膝の上に広げた風呂敷包みから小さな笹駕籠に詰めた雑菜の煮物と、一つのおにぎりを取り出した。
「これで、お夕飯の分のお米は無くなってしまうからちょっと悩んだんですけど……」
千鶴の、少し荒れた白い指がおにぎりを二つに割る。
「お互いのお茶碗に少し入ってるより、こっちのほうが幸せかなって……」
千鶴は二つに割った塩むすびの片方を、俯きがちに、おずおずと差し出しながら頬を染めた。
斎藤は少し首を傾げて千鶴を見た。
頬だけでなく、千鶴の晒された項から耳までがほんのりと染まっていく。
斎藤はくすりと笑みを零した。
「……いただこう」
斎藤の柔らかい声に、千鶴はぱっと顔を上げる。
その笑顔が、輝く夏の緑よりも眩しかったのか。
斎藤はゆるりと目を細めた。
終幕
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