期間限定薄桜鬼ブログ
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小ネタです。短いです(笑)
天藍の二人とは別人です……たぶん。
今日は七五三ですねv そんなネタです!
某・棒状お菓子の日「11月11日」の続きですので未読のかたはこちらをご覧下さいv
そんなで短くてもOKな方のみ右下からどぞ///
天藍の二人とは別人です……たぶん。
今日は七五三ですねv そんなネタです!
某・棒状お菓子の日「11月11日」の続きですので未読のかたはこちらをご覧下さいv
そんなで短くてもOKな方のみ右下からどぞ///
**********
はい、と差し出されたそれにどんな反応を返せばいいんだろう。
私は桶いっぱいに洗った手ぬぐいの山に手を伸ばした、中腰の格好のままに凍り付いた。
目の前には、ゆらゆらと揺れる千歳飴の袋。
差出人は声でわかった。
それ以前に、こんなことする人が一人しか思いつかないんですけど……!
「沖田さん……」
仕方なく、解(ほど)きかけた手ぬぐいを一つ、桶に戻しながら姿勢を正す。
「棒菓子の日は終わったと思うんですけど……」
予想通りのにこにこ笑顔でたたずむ沖田さんを見上げ、じとっと睨んだ。
「でも、千歳飴は七五三で正解だよね」
私なんかが多少睨んだところで崩れやしない笑顔がちょっとだけ憎い。
はい、今日は十一月十五日です。
七五三です。
千歳飴は七五三に食べるもの。はい正解です。
でも私は三歳でも五歳でも七歳でもないんです……!!
そりゃ私なんて皆さんに比べたら子供だってことは百も千も承知ですとも。だからと言ってあからさまに「子供だ」ってからかわれて嬉しいはずがあるわけないじゃないですか。
しまった。
手ぬぐいを桶に戻さなければ良かった。
そしたらぎりぎりと絞り上げてこの拳に溜まっていく憤りをぶつけられたのに……!
両手の拳を震わせる私を見て、何が面白いのか(いえ面白いんでしょうとも!)沖田さんがくすくすと笑いを零した。
「いやだな、誰も君を三歳とか五歳とか七歳だとかは思ってないよ?」
──え?
じゃあ、これは一体どういう嫌がらせだっていうんでしょうか?
ちょっと首を傾げると、沖田さんの笑顔が更に凶悪になった。
端(はた)から見れば華やかとか艶やかとかいう笑顔なんだろうけど、私にとっては厄介この上ない。
凶悪以外に表現のしようがありません。
しまった。
聞き返すのは墓穴だったんだ。
うっかり彼の思うつぼにはまってしまった……!!
綺麗な形の唇がひらいて、楽しげに、節をつけるように沖田さんは声を出した。
「男の子の七五三の儀は袴着(はかまぎ)、女の子は帯解(おびとき)って言うんだよね。じゃあ、袴姿で女の子の君の場合はどうしたらいいのかなあ」
……。
読めた。
先が読めました。
私はじり、と後ずさった。
帯解は七歳まで紐で着ていた着物を、この日からちゃんと帯で着るようにするっていう習わしだ。帯解って言うけれど、実際に解くのは紐で。
この人の場合、袴紐を解くとか言い出しかねない……!!
じりじりと私が下がる分だけ少しずつ距離を詰める沖田さんは、私が先を察したのに気づいているらしい。
笑顔の凶悪度が増してます。勘弁してください。その独特な迫力には少し涙が浮かびます。これならいつもの「殺しちゃう」のほうがマシです……!!
「そんなに怖がらなくても、殺したりするわけじゃないから。そうだね、まずはその襷(たすき)の紐を………」
「結構です!!」
すみませんもう限界です逃げるが勝ちです!!
だ、だれか……そうだ洗濯があるからって断ったけど永倉さんの巡察にやっぱりついて行こう!!
脱兎の如く逃げ出す後ろから本当に楽しそうな笑い声が聞こえてくるのが……。
悔しいけど、腹立たしいけど、ちょっとほっとする。
怪しかったり妖しかったり、とにかく含みのありすぎる笑顔の多い沖田さんだけど。
普通に、楽しそうに笑ったりすることもある。
笑顔は人を元気にすると父様は言っていた。本当に身体に良いんだって。
池田屋での傷はもうほとんど良いみたいだけど、沖田さんももっと、普通に、楽しく笑ってほしいと思う。
「──あ」
いい加減走ったところで、ふと気づいた。
あの千歳飴。
私をからかう為だけのものとは言っても、沖田さんが食べるとは思えないし……。
近所の子供にあげたりするかな。それだったらいいんだけど。
無駄になってしまうのは何だか申し訳ない。
──仕方ない。
後で、お部屋にお茶でも持って行って、沖田さんがまだ持っているようだったらちゃんといただいてこよう。
私はおぉおおきなため息をつきながら、永倉さんを探すことにした。
*
中庭にはようやく笑いがおさまってきた沖田と、手ぬぐいの山が入った桶がひとつ、残された。
沖田は呼吸を整えて桶を見た。
彼女が干そうと思っていたはずの、きっちり絞られた棒状の手ぬぐいの山。
そのまま放っておいて棒を量産しても良かったはずだったが。
沖田は千歳飴を縁側に置くと、鼻唄まじりに手ぬぐいを干し始めた。
「──貸しが増えたよ、千鶴ちゃん」
だから早く帰っておいで。
柔らかな呟きは誰にも聞こえなかった。
燦々と陽の降り注ぐ、壬生の秋。
はい、と差し出されたそれにどんな反応を返せばいいんだろう。
私は桶いっぱいに洗った手ぬぐいの山に手を伸ばした、中腰の格好のままに凍り付いた。
目の前には、ゆらゆらと揺れる千歳飴の袋。
差出人は声でわかった。
それ以前に、こんなことする人が一人しか思いつかないんですけど……!
「沖田さん……」
仕方なく、解(ほど)きかけた手ぬぐいを一つ、桶に戻しながら姿勢を正す。
「棒菓子の日は終わったと思うんですけど……」
予想通りのにこにこ笑顔でたたずむ沖田さんを見上げ、じとっと睨んだ。
「でも、千歳飴は七五三で正解だよね」
私なんかが多少睨んだところで崩れやしない笑顔がちょっとだけ憎い。
はい、今日は十一月十五日です。
七五三です。
千歳飴は七五三に食べるもの。はい正解です。
でも私は三歳でも五歳でも七歳でもないんです……!!
そりゃ私なんて皆さんに比べたら子供だってことは百も千も承知ですとも。だからと言ってあからさまに「子供だ」ってからかわれて嬉しいはずがあるわけないじゃないですか。
しまった。
手ぬぐいを桶に戻さなければ良かった。
そしたらぎりぎりと絞り上げてこの拳に溜まっていく憤りをぶつけられたのに……!
両手の拳を震わせる私を見て、何が面白いのか(いえ面白いんでしょうとも!)沖田さんがくすくすと笑いを零した。
「いやだな、誰も君を三歳とか五歳とか七歳だとかは思ってないよ?」
──え?
じゃあ、これは一体どういう嫌がらせだっていうんでしょうか?
ちょっと首を傾げると、沖田さんの笑顔が更に凶悪になった。
端(はた)から見れば華やかとか艶やかとかいう笑顔なんだろうけど、私にとっては厄介この上ない。
凶悪以外に表現のしようがありません。
しまった。
聞き返すのは墓穴だったんだ。
うっかり彼の思うつぼにはまってしまった……!!
綺麗な形の唇がひらいて、楽しげに、節をつけるように沖田さんは声を出した。
「男の子の七五三の儀は袴着(はかまぎ)、女の子は帯解(おびとき)って言うんだよね。じゃあ、袴姿で女の子の君の場合はどうしたらいいのかなあ」
……。
読めた。
先が読めました。
私はじり、と後ずさった。
帯解は七歳まで紐で着ていた着物を、この日からちゃんと帯で着るようにするっていう習わしだ。帯解って言うけれど、実際に解くのは紐で。
この人の場合、袴紐を解くとか言い出しかねない……!!
じりじりと私が下がる分だけ少しずつ距離を詰める沖田さんは、私が先を察したのに気づいているらしい。
笑顔の凶悪度が増してます。勘弁してください。その独特な迫力には少し涙が浮かびます。これならいつもの「殺しちゃう」のほうがマシです……!!
「そんなに怖がらなくても、殺したりするわけじゃないから。そうだね、まずはその襷(たすき)の紐を………」
「結構です!!」
すみませんもう限界です逃げるが勝ちです!!
だ、だれか……そうだ洗濯があるからって断ったけど永倉さんの巡察にやっぱりついて行こう!!
脱兎の如く逃げ出す後ろから本当に楽しそうな笑い声が聞こえてくるのが……。
悔しいけど、腹立たしいけど、ちょっとほっとする。
怪しかったり妖しかったり、とにかく含みのありすぎる笑顔の多い沖田さんだけど。
普通に、楽しそうに笑ったりすることもある。
笑顔は人を元気にすると父様は言っていた。本当に身体に良いんだって。
池田屋での傷はもうほとんど良いみたいだけど、沖田さんももっと、普通に、楽しく笑ってほしいと思う。
「──あ」
いい加減走ったところで、ふと気づいた。
あの千歳飴。
私をからかう為だけのものとは言っても、沖田さんが食べるとは思えないし……。
近所の子供にあげたりするかな。それだったらいいんだけど。
無駄になってしまうのは何だか申し訳ない。
──仕方ない。
後で、お部屋にお茶でも持って行って、沖田さんがまだ持っているようだったらちゃんといただいてこよう。
私はおぉおおきなため息をつきながら、永倉さんを探すことにした。
*
中庭にはようやく笑いがおさまってきた沖田と、手ぬぐいの山が入った桶がひとつ、残された。
沖田は呼吸を整えて桶を見た。
彼女が干そうと思っていたはずの、きっちり絞られた棒状の手ぬぐいの山。
そのまま放っておいて棒を量産しても良かったはずだったが。
沖田は千歳飴を縁側に置くと、鼻唄まじりに手ぬぐいを干し始めた。
「──貸しが増えたよ、千鶴ちゃん」
だから早く帰っておいで。
柔らかな呟きは誰にも聞こえなかった。
燦々と陽の降り注ぐ、壬生の秋。
おあとがよろしいようで(汗)☆脱兎!
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