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今回でよーやく戦況話が終わります〜v
次回から斎藤さんが多少乙女ですがご容赦を;

大鳥さんは人の機微に敏感な人だと思うのです。
でなければ……ねえ(笑)<土方ルート(笑)
管理人は大鳥さんを書きまくれてかなり楽しかったです!
大鳥さんと斎藤さんはわりと話が通じると思うんだけどどうだろう。
そんな第4回です。よろしければ右下のタイトルからどぞ///






大鳥は最初から主戦場を街道沿いと想定していた筈だ。だが新選組が配備されたのは勝岩方面だった。しかも所持する大砲の数が少ないからと、石筵川の渡河予想地点より少し南へ下ったところに配備された。
そこからも渡河地点へ移動する新政府軍の動きを牽制することは出来たが、最終的に渡河を阻止したのは、大砲同士による激しい砲撃戦を担った伝習隊第二大隊の成果と言えるだろう。
そして三重の土塁に囲まれて砲撃もほぼ免れた新選組は、ここまで全くの無傷だった。
抜き身の剣のような斎藤の眼差しを受けて、だが大鳥は「困ったな」と言って笑った。
「……困ったな。勝岩の戦力に不安があったのは本当だよ。ここを突破されるのが地形的には一番危険だからね。それでどうしても、君たちの支援が欲しかった」
「そうですか」
斎藤の反応は冷ややかだ。
「勝岩はおそらく守りきりました。ならばこの後は、最後まで援軍として戦いを全うするのが俺たちの役目です」
冷えた光を放つ斎藤の眼差しと、温かくも真摯な大鳥のそれがぶつかった。
その場に居た誰もが昼飯を口に運ぶ手を止めていた。
斎藤の静かな剣幕に肝が冷える。
次の瞬間に右腰に差した刀が抜き払われていてもおかしくない気配だ。
斎藤はここへ覚悟と矜持を持って戦いに来たのだ。数合わせの立場を良しとして安穏と守られる為に──そんなことの為に土方と袂を分かったわけではない。

やがて、大鳥が長い溜息を吐いた。
「──わかったよ。殿(しんがり)は新選組に任せよう」
「……」
斎藤は今にも空気を斬り裂きそうだった気配を消して頷いた。
彼の背後で数人の隊士が一斉に息を吐いて気を緩めたのが目に入り、大鳥は小さく笑った。
新選組の隊士たちは難しい負け戦の殿を任されることよりも斎藤の殺気のほうが恐いらしい。
この難局において、それは彼等の余裕を知らしめるものだった。
「──頼もしいよ」
そっと瞳を伏せた大鳥から零れた声は大きくはなかったが、確かな存在感を持ってその場に響いた。
静かに新選組へと寄せられた信頼がそこには在った。
「……だけど第二大隊の一部をこちらに回すよ」
継いだ声は軽やかな、いつもの大鳥のものに戻っていた。
「新選組の人数だけでは弾幕が少し足らないと思うんだ。戦線は土塁を作るときに掘った塹壕を利用してくれるかな」
「わかりました。こちらに配備される伝習隊の指揮は」
「君が執ってくれて構わない。そのように指示しておくよ」
「了解しました」
淡々と返答する斎藤に、大鳥は苦笑した。
「無理はしてくれるなよ、斎藤君。君を失うようなことがあったら土方君に顔向けができなくなるからね」
「俺は大丈夫です。大鳥さんこそ生き延びてください。あなたにはまだ、やらなければならないことがある」
「──」
大鳥が表情を改めた。
片膝をついた姿勢のまま、斎藤の顔を覗き込むように僅かに上体を傾ける。
立てたもう片方の足の下で靴底がざりっと土を掻いた。
「──君もだよ」
「……?」
大鳥の明るい、まるい瞳が無言で問い返す斎藤を写し取った。
「君も、生き延びてくれなければいけない。僕たちは必ず北で再起する。そしてまた会おう。土方君たちと、皆で」


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