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元治元年九月初旬。禁門の変の翌々月です。
千鶴が新選組に来て九ヶ月。15〜16歳くらいに設定してます。
沖田さんは現代の数え方で22歳。1842年誕生説をとってます。
まだまだ千鶴は狩りの獲物です(え)
甘さ控えめですが、それでもよろしければ…///


右下のタイトルからお進みください///
(しかも第一回はほとんど沖田さん出番無しorz)


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※未来捏造(ゲーム終了後約十年)です。
 歴史に従って斎藤さんは藤田五郎と名を改めてます。
 「東の都、ひかり降る先」のサイドストーリーとして書きましたが
 時系列的にはこちらのほうが少し前です。
 五郎さんの嫁自慢です。


 よろしければ、右下のタイトルよりお進みください///


 私信。ご希望にお応えしてこちらも掲載いたしました!
    ありがとうございます〜///

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※未来捏造(ゲーム終了後約十年)です。
 歴史に従って斎藤さんは藤田五郎と名を改めてます。
 設定その他に関す注意書きその他は
 →「予告:斎藤×千鶴(未来捏造)」をご覧下さいませ。




よろしければ、右下のタイトルよりお進みください///

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**********

「……」
ごろりと、寝返りを打つ。
夕食も済ませお風呂もいただいて後はもう寝るばかり……なんだけど。
沖田さんが変なことを言ったせいで眠れません……!
私は何度目かの寝返りを打った後、諦めて身を起こした。
そうすれば嫌でも沖田さんの隊服が目に入る。足下に置いた衣桁(いこう)に掛けてあるんだから当然なんだけど。
ああ、でもちゃんと目に入っているほうがましかも知れない。そこにあるのはただの隊服で、隙あらば悪戯を仕掛けてくる沖田さん本人でも分身でもないんだから。
「はぁ……」
安堵だか疲労だか自分でもよく分からないため息をついて、私は行灯に火を入れた。ほとんど闇色に沈んでいた浅葱の色彩がぼんやりと戻ってくる。

──新選組の隊服。
切腹の時の裃(かみしも)の色である浅葱色に、忠臣蔵の討ち入り衣装に倣ったというだんだら模様。背には「誠」の文字。

「……」
何となく、隊服の前に正座をした。そうせざるを得ないような気がして。
ちり、と行灯の中で炎が鳴った。浅葱の上に影の波が走った。
──私は新選組の一員では、ない。これに袖を通すことは許されない。
皆はどんな思いでこれに袖を通しているんだろう。
意気揚々と? 誇りを持って?
手応えのない感触の言葉を、軽く首を左右に振って払い落とす。
思いの及ぶ範囲で予想してみても上っ面を撫でることしか出来ないような気がする。
私は剣に生きる者ではないから。
『君には、わからないかもしれませんね……』
あの時の山南さんの言葉が頭の中で蘇る。
『剣客として死に、ただ生きた屍になれと言うのであれば──人としても、死なせてください』
思い出しただけでも辛い言葉。
堪えきれず目を閉じ、ぎゅっと瞑って大きく息を吸い、吐く。
剣客でなくなれば生きた屍に過ぎないなんて。
あの時。
山南さんが【薬】を飲んで理性を失いかけた時。
失敗したと思った山南さんは死ぬつもりだったんだと思う。
それを正確に感じ取った沖田さんは「介錯する」という言葉を使った。
でも致命傷は与えなかった。
山南さんが正気に戻ることに賭けたのかな……。
狂ってしまう危険があっても、山南さんの腕が治り、彼が剣客であり続けられることを良しとして。
そういえば沖田さんは最初から山南さんに【薬】を使わせてはどうかと言っていた。永倉さんたちは反対していたみたいだったけど。
──剣客として死ねば生きた屍。
沖田さんもそう思っているのだろうか。
私は目を開けて長い溜息を吐いた。
「誠」を染め抜いた浅葱の羽織は黙して語らない。
沖田さんと永倉さんの意見が分かれたように、剣に生きる人たちも、その生き方については各々違う考えを持っているのかも知れない。
どれ一つとして、私には理解できないのかも知れないけれど。

一つ一つを大切に思うことなら……。

私は立ち上がって、衣桁から羽織りを外した。そして行灯の傍に座り、表地と裏地を丹念に確認する。
当たり前かもしれないけど、やっぱり無い。

私は針箱を取りに、部屋の隅へと向かった。



翌朝。朝食を済ませるとすぐに、私は沖田さんの部屋へ隊服を届けに行った。結局、皺を取るのに少し火熨斗(ひのし)を掛けたけど、綺麗になったと思う。
お詫びを言って隊服を差し出すと、沖田さんは「ありがとう」と無造作にそれを羽織った。今日は一番隊が巡察当番らしい。
ど、どうしよう、今言っておこうかな……。
黙っていて後で発覚するのもばつが悪い。
なんて少しでも迷うと、この人にはすぐに見透かされる。
「どうしたの?」
ほら、もう楽しげな笑みを浮かべて私を斜め上から覗き込んでいる。
「えっと……」
どうやって切り出そうか迷うけれど、もう言うしかない。
「……左の前身頃の内側を、見ていただけますか? 羽織紐の少し下辺りなんですけど……」
ひょいと衿をつまんで沖田さんが前身頃を持ち上げる。
その内側には小指の先ほどの大きさの文字で縫い込まれた「沖田」の文字。
「何、これ?」
「えっと、隊服ってどれも同じじゃないですか。洗う時とか、誰のか分からなくなって困ったりしないかな、って思って……」
目が多少泳ぐのを自覚しつつ、一晩かけて用意した言い訳を口にする。
本当の理由を言うのは憚(はばか)られた。大切にしたいだなんて──私の勝手な感傷に過ぎないってわかってるし、恥ずかしすぎる。
「嫌でしたら今すぐ外します」
袂に入れていた糸切りばさみを出しながら早口で言い添えた。
「……次から次へとよく思いつくなあ」
沖田さんはちょっと呆れたような口調でそう言うと、羽織紐をいつものように交差させて結んだ。
「別にどうでもいいよ、外側からは見えないし。でもこれ、全員分縫うつもり?」
「はい、できれば。土方さんにお願いして、平隊士さんのぶんも縫いたいと思ってます」
外せと言われなかったことにほっとしながら、私は沖田さんの問いに答えた。
もし許されるなら全員の名前を縫いとめたい。一針一針、大切に。
「……それ、一年前なら二、三十人ぶんだけど、今だと二百人ぶんだよ」
「はい。やってみましたけど名字だけならそんなに時間もかかりませんし、大丈夫です」
「へえ。その割には、赤い目をしてるけど?」
「え!?」
私は慌てて目を擦った。
寝てないのは本当だ。言い訳を考えたり、それから……。
「沖田、の下に幾つか針を通した跡があるよね。本当はかなり失敗して時間がかかってるとか?」
「それは……そ、総の字が難しくて……それで名字だけにしたんです」
嘘じゃない。
私には難しかった──だって縫っている間はどうしてもその名前が頭にあるわけで……男の人の、名前をずっと思い浮かべているなんて私には初めてで……!
頬がかっと熱くなった。
「ふうん」
顔を赤くしているはずの私を面白そうに見下ろすと、沖田さんは部屋の奧の刀掛けから大小をとって腰に差した。そして私の傍を抜けて縁側に出る。からかうには絶好の隙を見せてしまったと思うのだけど……見逃してくれたのだろうか。
と、沖田さんは振り返って爽やかに笑った。
「だけど新選組にはもうひとり、沖田がいるんだ」
「……え?」
「だから後で名前も足しておいてくれるかな」
「……ええ!?」
「やり始めたことはちゃんとやろうね」
じゃ、と手を振って沖田さんは歩き去る。
──見逃してくれるなんてあり得ませんでした。
沖田さんは字画の多い「総」の字という障害を私の前に置いて、やってみろとばかりに楽しんでいるんだと思うのだけど……私にとっては。
「総司」という名を思い続けなければならない時間の長さを思って、熱くなっていく手を握り締めた。
手にしたままの糸切りばさみが、きゅっと鳴った。

***

それから日を置かずして新選組約二百名は千鶴も伴い、壬生から西本願寺へと屯所を移した。
更に翌四月には新たに江戸で隊士を募り、五月には江戸に残留していた藤堂平助と共に五十余名が入京。組織も再編成され、二分隊を一個小隊とする、当時としては画期的な軍制度を敷いた。
一方で、粛正される隊士の数も増えていく。
新選組の名を冠してよりここまで山南敬介を含めても十名程度だった粛正者の数は、西本願寺に屯所が移った慶応元年三月よりその年が暮れる一年足らずの間に八名を数えることとなる。中には【新撰組】へと転属した者も居たが、それも含め命を落とした隊士達は、主に壬生屯所近くの光縁寺に葬られるようになった。
その中には、千鶴の眼前で血に狂い斎藤一によって粛正された三名の【新撰組】隊士の名もあった。
壬生寺から光縁寺に移された彼らの墓には名が刻まれたのだ。
以後、【新撰組】── 後に【羅刹隊】と呼ばれるようになる者たちは、血に狂って粛正されても名を刻まれ人として葬られることになる。

慶応元年五月、雪村千鶴が土方歳三に提出した嘆願によるものであった。


終幕

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**********


息が切れるほどの勢いで自分の部屋まで走ってきて、
──敷居に躓いて転んでしまった。
沖田さんの隊服を右手で握り締めたまま。
したたかに打ち付けた膝と肘が痛い。
「っー……」
痛かったおかげで、からかわれた衝撃はだいぶ収まったけれど。 
「……」
畳の上に情けなく伸びたまま、私は溜息をついた。
早くここから出て行けと言われたのに、それは二の次だと言わんばかりの反論をしてしまった。
自分で通そうと決めた気持ちに嘘はない。もう迷わない。でも。
「……嫌われた、よね……」
勝手にしろとは言ってくれたけど。
無意味にしか思えない悪戯を思い出してもう一度、大きな溜息をついた。
頬を乗せた畳が冷たい。
と、ふと。
「──!」
冷たかったからじゃなくて、私はそれに気づいてしまって慌てて身を起こした。
──握り締めた隊服からは、さっき間近で感じた沖田さんの匂いがした。



ちょっと自分を落ち着かせてから沖田さんの部屋に戻ってみると、そこにはもう箒も桶も無くて綺麗に片付けられていた。行灯の明かりにぼんやり揺れる室内には沖田さんの姿もない。
「……どうしよう」
私が逃げたせいで沖田さんを煩わせてしまった。
私の仕事だったのに。
出来ることは何でもしたいなんて啖呵を切っておきながら、その直後にこんなことでは……沖田さんに嗤われても仕方ない。
自分が不甲斐なくて悔しくて、唇をかみ締める。
どうしよう、少し泣きそう。
……でも泣いたって、それこそ仕方ない。覆水盆に返らずって言うもの。どうしよう、じゃなくてどうするかを考えなきゃ。
「──うん、そうしよう」
「何を?」
「!!」
独りごちて頷いたら、突然すぐ後ろから声がした。
廊下の掛け行灯の傍で沖田さんがにっこり笑っていた。
気配もなく至近距離まで近づかれると、し、心臓に悪いです。……と、暢気(のんき)に驚いている場合じゃない。
「すみません、沖田さん!」
「何が?」
真剣に頭を下げる私をにこにこ見おろす沖田さんは……絶対、分かって言っている。ああ、穴があったら入りたい。
「箒と桶を片付けさせてしまって……」
「ああ、あれ。そういえば最近、桶の水を流すことが多いなあ」
「う……」
それはきっと、私の手拭いを洗ってくれた時のことだ。ますます私は小さくなってしまう。
「すみません……」
俯いて袖の裾を掴む。なんかもう、いたたまれない。
すると、頭の上でくすくすと沖田さんの笑い声がした。
「いいんだよ、さっきは僕も悪かったんだから」
「でも……」
顔を上げると、予想より近くに沖田さんの目があった。少し色の薄い瞳に行灯の光が射し込んで、複雑な紋様を浮かび上がらせている。
「ひとりでなにかしようとするのは、君の性分なのかな」
「え……」
何が言いたいのか分からない。彼の瞳の色ひとつ捉えきれないのに彼の心を読もうなんて無理な話で、私は返答できずにうろたえるしかなかった。
「悪いとは言わないけど、それが本当に君がひとりでやらなきゃいけないことかどうか、ちゃんと考えるんだよ」
そっと細められた目がゆっくりと瞬いて、瞳に睫毛がかかった。優しげにも見えるけれど、彼は微笑みながら剣を抜く人だから真意は分からない。
そしてやっぱり、告げられた言葉は容赦がなかった……ように思うんだけど。
この場合、箒と桶の片付けは、「本当に私がひとりでやらなきゃいけないこと」ではなかった、って言われているのだろうか。
他には思いつかない。
だったら今、私は責められているわけじゃなくて……。
気にしなくていいんだ、と、言われている……?
「──はい」
私は言われたことを噛みしめるように頷いた。本当に、私がひとりで。そんなことが在ればいいと……漠然とそれを少し怖い、とも同時に思いながら。
でも今は。
「片付けてくださって、ありがとうございました」
そう、お礼を言わなければ。
私の仕事を手伝ってくれたこの人は、私を責めているのではないのだから。
すると沖田さんは、にこりと微笑んだ。
「どういたしまして。じゃあそろそろ食事の時間だし、広間に行こうか。早く行かないと新八さんたちに全部食べられちゃうからね」
その光景は易々と想像できてしまう。つい、くすりと笑ってしまった。
「でも、いつも待っててくれますよね」
「ご法度だからね。他人の膳に手を出すまじきこと。もちろん破ったら切腹」
「──本当ですか!?」
「あははは、本当だったら新八さんや平助君はとっくに斬られてるよ」
……もう、この人は……!
でも、促されて広間へと歩き出しながら、ちょっと考えてしまう。
こうして冗談も言ってくれるっていうことは、そんなに嫌われたわけでは……ないのかな。もともとあまり好かれているとも思わないけど、それ以上に嫌われてしまうのは辛いなと思っていたんだけど。
顔を合わせれば斬ると脅されてばかりだった頃のことを考えれば……ほんの少しくらいは、私がここに居ることを認めてくれたのかな。
「千鶴ちゃん」
物思いにふけっていると、沖田さんに肩を突つかれた。
「ところで僕の隊服は?」
──あ、そうでした。
「すみません。少し皺が寄ってしまったので、一晩衣桁(いこう)に掛けて皺を伸ばしてからお返しします。それで駄目だったら、軽く火熨斗(ひのし)を掛けてもいいですか?」
「いいけど……そんなに気を遣わなくてもいいのに」
「いえ。そうさせてください」
だって、大切な、新選組の隊服だから。これは心の中だけで呟く。
私の返答に、沖田さんは「ふーん」と相槌を打つとにやりと笑った。
「じゃあ僕の隊服は、ひとばん、君と一緒なんだね」
「な……!」
笑みにも声にも含みがありすぎる。特に「一晩」をそんなに強調しなくても……!
「寂しかったら僕の隊服と一緒に寝てもいいよ」
「い、今更寂しくなったりしません!」
「寒かったら着て寝てもいいから」
「もう三月ですからそんなに寒くありません!」
私は眼前の広間の入口に駆け寄ると、勢いよく襖を開いて中へ飛び込んだ。襖の立てる乾いた音に幹部の皆さんが驚いて振り返る。でも、続いて忍び笑いが止まらない沖田さんが入ってくると誰もが事情を察してくれたようで、私に向けられていた眼差しが同情的なものに変わった。原田さんが手招いてくれて、私は一も二もなくそちらへ駆け寄った。
ああもう、本当に。
どう接したらいいのかまったく分かりません……。



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**********


結局、千鶴が屯所に戻ったのは広間に夕餉が並べられ始めた頃だった。
一度自室に寄ってきたのか、出ていた折に腰に差していた小太刀は見あたらない。八木氏内儀が膳を運ぶのを慌てて手伝い、いつものように飯釜から全員分の茶碗に米をよそった。
各人の膳に茶碗を配った折、沖田の前で千鶴は小さく手拭いの礼を言った。沖田は「どういたしまして」と目元を緩めた。夕餉の間に二人で交わされた会話はそれきりだった。
尤も、久し振りに局長副長が揃った夕餉の話題はもっぱら西本願寺移転に関する交渉の推移に終始し、雑談が交わされるような雰囲気でもなかった。
千鶴は早々に食事を切り上げて静かに広間を出た。何人かの視線が気遣わしげに千鶴の背に注がれたが、彼女が気づくことはなかった。

その夜。文机に行灯を寄せて土方が書面をしたためていると、障子の向こうに遠慮がちな気配がわだかまった。
だが入室を求める声は聞こえてこない。土方は筆を置き、溜息をついてから声を掛けた。
「どうした」
土方の呼びかけに観念したのか、障子越しにか細い声がした。
「土方さん……少し、いいですか」
「入れ」
夕餉の時よりも青白い顔をした千鶴がきちんとした作法で入室し、その場に正座した。土方は腕を組み、顎の先で自分の前に座るように促した。千鶴は手をついて軽く頭を下げると土方の指示に従って文机の前に移動した。
「で、何の用だ」
平坦な土方の声に、千鶴は膝に置いた両の拳を握り締めた。袴に皺が寄る。俯き、ぎこちなく口を開いたり唇を噛み締めたりする様子からは、早く話さなければという焦燥と容易くそうはできないという葛藤が見て取れる。
土方は無言で彼女の葛藤の終結を待った。
やがて千鶴は震える息を大きくついて顔を上げた。
「土方さん……もし、もし私が、父様を探すのを諦めるとしたら……どうしますか」
「……」
彼にとっては意外な話ではなかったのか、土方の表情はほとんど動かなかった。
「……江戸に帰りてえのか」
「……」
冷静な視線を向けられ、千鶴は是とも否とも言わず黙したまま下を向く。
土方は、すっと鋭く片眼を眇(すが)めた。
「おまえは新選組の秘密を知っている。本当なら殺してしまいたいところだが……」
そして苦笑した。
「……江戸に幾つか伝手(つて)がある。素性を隠し、ただの娘としてそこに居てもらうことになるだろうよ」
「……え……?」
思ってもみなかった言葉を聞いたとばかりに、千鶴は目を剥いた。ゆっくり顔を上げる。
そこには、まだ苦笑を浮かべたままの土方が居た。
「……殺さないんですか」
問う声は掠れた。疑問の形に開かれた唇は結ぶことを忘れられたように放置される。
逃げるなら殺す、秘密を知ろうとすれば、漏らすようなら殺す。一年以上もそう言われ続け脅され続けてきた少女の反応としては無理もない。
千鶴の呆けた顔を見て土方は少し笑った。
「まあ、そこで怪しい動きでもするようなら放っちゃおかねえが。そういう奴じゃねぇだろ、おまえは」
「──」

気安い笑みを含んだ土方の言葉に。
千鶴の双眸は零れんばかりに見開かれた。
拳に握り込まれた袴に、更に皺が寄る。拳は震えた。腕も、肩も。
息は一呼吸、音を立てて飲み込まれ、止まった。
瞳に涙が滲んだと見えた瞬間。
それはとめどなく溢れ出て、頬を伝った。
頬を伝い顎を滑り落ちて小さな拳に、袴に落ちる。
突然の雨のように。

土方は珍しく困惑した様子で眉を寄せた。
「……おい、何故そこで泣く」
「すっ、すみません。なんっ、でもありません、ありがとうござっ…います…」
千鶴は呼吸と謝罪と礼とを一度に行おうとして少しむせた。土方は肩をすくめて苦笑した。
呼吸を整えながらあわあわと涙を袖で拭い、力任せに擦った為に目の周囲を朱く腫らした千鶴は、畳に両の指先を揃えた。
「これからも、ここで父様を探します。新選組の力を貸してください!」
勢いよく、深々と頭を下げる。
土方は千鶴に頭を上げるように言って、組んでいた腕を解いた。
「ま、そうしてくれるとこちらもいろいろと手間が省ける。江戸で誰かに預けるってぇのも面倒な話だからな」
「はいっ、──あ、屯所の移転でこれから忙しくなりますよね、私に出来ることがあれば何でも言ってくださいっ」
ばっ、と頭を上げた勢いのままの口調にも、部屋に入ってきた時とは別人のような輝きを湛えた瞳にも、千鶴が感じているであろう嬉しさが満ち溢れていた。
土方は一度目を閉じ──開いて、頷いた。
しょうがねぇなと言わんばかりの、苦りきっているくせにどこか甘い、沖田に過保護と称される顔をしていた。
「……わかった」
「ありがとうございます!」
「話はそれだけか」
「あ──」
そこで、久々に顔をほころばせていた千鶴が言いよどんだ。
「どうした」
「一つ、お願いがあるんですが……」
「何だ。言ってみろ」
千鶴は畳に指をついて前のめりになっていた姿勢を戻し、左右の腿の上で軽く握り拳をつくった。この一年で、千鶴も男のような所作をたまに見せるようになっていた。
「……いえ、屯所の移転が落ち着いたら、また改めてお話させてください」
顎を引き真面目な面持ちで土方を見る千鶴には、幼さを残しながらも凜とした空気があった。
土方はそれを見定めるかのように目を細めてから、ぞんざいに言葉を掛けた。
「変な奴だな。まあいい、用が済んだなら部屋へ戻って寝ろ」
「はい。あ、忙しいところすみませんでした。失礼します」
千鶴は一礼すると、来た時と同じように作法に則り──しかし弾むような動きで障子を開いて退室していった。

「──山崎」
大きく溜息を吐き出した土方が静かに名を呼ぶ。
「はい」
千鶴が出て行った反対側、部屋の奥の障子が開いて監察方の山崎が姿を見せた。ほとんど音を立てない動作で土方に近寄り、控える。装束もそうだが、動作も忍びのそれであった。
「ありゃあ……巻き込んじまったなあ……」
苦笑を禁じ得ない。そんな様子で土方は膝を崩し胡座をかくと、文机の脇に置いた書状の山を徒(いたずら)に爪の先で弾いた。
対して山崎は表情も姿勢も崩さぬまま土方に答えた。
「もはや、雪村君もそれを望んでいるように思われますが」
「そういうつもりはなかったんだがな」
「雪村君も最初は違ったのでしょう。しかし今は彼女にも、新選組に求めるものがあるように思います」
「求めるもの? 父親の消息以外にか。あいつは武士になりてぇわけじゃねえだろ」
「ですが、彼女なりの誠があるのではないでしょうか」
土方は少し身を起こし、眉を寄せながら笑った。
「誠ぉ? あいつぁまだ子供だぞ」
「……副長が試衛館に入門なさったのは、あの年頃だったのではありませんか?」
山崎の言葉に、土方の顔から表情が落ちた。
考えるように軽く息を吸い、天井を見上げる。
その脳裏に何が過ぎったのか。
──やがて土方は視線を山崎に戻し、面白そうに笑った。
「ま、少し考えてやるか。その分、おまえの仕事が増えても文句は言うなよ。今までのところは無事だったが、あいつは長州から何時狙われてもおかしくねぇ身の上だからな」
「心得ました」
覆面の下で山崎の目が穏やかに笑んだ。

それから数日も過ぎぬうちに新選組は西本願寺北集会所(きたしゅうえしょ)とその周辺の使用を許され、移転のための工事を開始した。
桁行き十九間、梁間十五間。何百畳もある北集会所の大広間を仕切って部屋や廊下を作り、宿所としての体裁を整えるのだ。
千鶴は土方の命を受け、西本願寺と壬生屯所の間を日に一、二度往復するようになった。工事の見取り図を片手に、変更や細かい指示が出れば西本願寺へ走り、現場から質問が上がればそれを携えて壬生屯所へ戻る。
合間に、新隊士の為の隊服の発注書を呉服屋に運んだりもした。
彼女の使いには山崎が必ず護衛についた。
ならば自分のような子供ではなく山崎が使いもこなせば都合が良いのではと千鶴が問うと、監察として潜入なども行う自分が明らかに新選組の者として顔を知られるのはまずいのだと山崎は答えた。

八木邸の中でも彼女の仕事は増えていた。幹部たちの荷物の整理だ。ほとんど個人の持ち物など無い者も居れば、書籍や私服等、どう見ても荷造りが必要な者も居た。
千鶴はついでに、今まで掃除の行き届かなかった各幹部の部屋の清掃も申し出た。立つ鳥後を濁さず。そう言った千鶴に理を認め、土方は幹部たちが巡察等で部屋を空けている間の清掃を許可した。
もちろん、そんな状況では父親を探す暇などない。千鶴が巡察に出る機会は目に見えて減った。
だがふさぎ込んでいた千鶴に明るさが戻り、いや、以前にも増して伸びやかに動くようになったのを、幹部の誰もが喜ばしく思っているであろうことは千鶴を見守る彼らの眼差しからも明らかであった。

ただ一人を除いては。

そのただ一人である、沖田の部屋の掃除に千鶴は精を出していた。欄間や障子の桟は、埃を落として丁寧に拭った。敷居は竹串で埃を掻き出した後、障子が滑りやすいように蠟を塗る。畳は掃き出してから固く絞った雑巾をかけた。
手拭いを頭にかぶり袖を襷(たすき)でキリリと縛り上げ、腰にはたきを差した出で立ちは、なかなかに勇ましかった。
そんな千鶴が文机を布で乾拭きしていると、夕暮れ時になって巡察から戻ったのか、部屋の主が背後から険を含んだ声を掛けてきた。
「何をそんなに一生懸命になってるのかなあ。綱道さん探しに行かなくていいの?」
千鶴はぴたりと動きを止めた。
首を巡らせ振り返る。
つい先日、父親を見つけて早くここを出て行けと言った青年は、左腕をだらりと剣の柄にかけて千鶴を見下ろしていた。くすんだ夕暮れの光を斜めに背負ってぼんやりと影になった表情はよく見て取れないが、笑っていないことだけは判じられる。
千鶴はすっくと立ち上がった。
襷でたくし込んだ袖が多少邪魔なのか、脇が少し浮いて仁王立ちのような立ち姿になった。 
「──いけませんか」
千鶴は視線がぶつかるのも構わず、真っ直ぐに沖田を見た。部屋に残るわずかな光を拾い集めたように、その瞳は刹那、きらりと輝いた。
「父様は探し続けます。父様から直接、聞きたいことがたくさんあるんです。──でも、それだけじゃないといけませんか」
真剣に言い募る千鶴の視線を沖田は静かに受けた。表情も身体も不動のまま動く気配はない。
対して千鶴は、無意識の内か、摺り足で右の足を半歩前に出していた。
「理由はどうあれ、私を置いてくれている新選組に恩義を感じてはいけませんか。秘密を知っている私を、殺さずに置いてくれる新選組の皆さんの信頼に、少しでも応えたいと思うのは変ですか。私なんかが出来ることは限られてます。何が出来るのかも良くわかってません。だから、出来ると思ったことはすべてやりたいんです」
千鶴は一文毎に鋭く息を継ぎつつそこまで言い切ったが、激昂した様子はなかった。ただ、一歩も引かぬ意志を漂わせて沖田と対峙していた。

数瞬の後、その静謐を破ったのは沖田だった。
ふっと零した息づかいは穏やかに夕闇へと紛れた。
「君も物好きだね。──勝手にしなよ」
千鶴の瞳がまあるく見開かれた。
唇は笑みの形に開き、並びの良い歯が垣間見えた。 
「──はい。ありがとうございます……!」
嬉しげに頭を下げて礼を言う千鶴に、今度は分かりやすい溜息をついて沖田は苦笑した。
「別に礼を言われるようなことじゃないよ。……それより、だいぶ暗くなってきたし行灯に火を入れたら?」
「そうですね。あ、片付けないといけないし、やっておきますから沖田さんは広間にでも行っていてください」
「この格好で?」
沖田は浅葱の隊服を軽くつまんでみせた。ああ、と千鶴は大きく頷く。
「じゃあ、私が掛けておきます。貸してください」
千鶴が片手を差し出すと、沖田は羽織紐を外して彼女に背を向けた。左袖だけを落として肩越しに振り返る。
どうやら手伝えと言いたいらしい。
はいはいと笑顔で頷きながら近寄った彼女が羽織りの左袖を掴むと、沖田はひらりと身を翻して右袖からも腕を引き抜き、隊服を持ってぽかんとする千鶴を自由になった両腕で囲い込んだ。
「──お……沖田さんっ……!?」
一拍遅れて我に返った千鶴が沖田の腕の中でもがく。沖田は余裕の笑顔で千鶴を閉じこめると、しゃあしゃあと嘘を並べた。
「そんなにびっくりしなくても。千鶴ちゃんが転んだから抱きとめただけなんだけどなあ」
「──転んでません!」
「ほら、そこの箒に足をひっかけて」
「ひっかけてません!」
「じゃあそっちの桶に」
「ひっかけてたらここは水浸しです!!」
沖田は声を出して笑った。
「変なところで因果にこだわるね」
笑って緩んだのか解放するつもりになってくれたのか。
とにかく彼の腕の力が弱くなったことに気づいた千鶴は、何とか沖田を振りほどくと隊服を持ったまま脱兎の如くその場を逃げ出した。
「千鶴ちゃーん? 僕の隊服持ってどこいくのー?」
駆け去るその背に沖田が間延びした声を掛けると、
「後で片付けますからそのままにしておいてくださいっ!!」
悲鳴のような声が遠くから戻ってきた。
混乱しているのか、言っていることがずれている。
沖田はくすくすと笑いながら床に放置された箒を拾い上げた。

千鶴が逃げた先へと視線を向ければ、屋根に掛かった三日月が目に入る。
剣の切っ先のような月。
もう間もなく西に落ちる。 

沖田は箒の穂先を肩に掛けると、楽しげな笑みを口元に刻んだ。



終幕

拍手

**********


(ひる)時を前に淡雪は露と消えたが、墓地には湿気た冷気が低く垂れ籠めて残った。
午を過ぎても曇天下の地面は濡らされたまま陽に温められる機会もなく、冷たく凝(こご)っていた。
その中でなお、千鶴は墓碑にすら名を残すことが許されなかった隊士たちの前に跪いていた。
少し視線を上げると、無名の石碑より少し奧まった場所に、故あって粛正された隊士たちの墓が戒名を与えられて並んでいるのが見える。綱道の上洛より以前に行われた粛正では命か薬かの二者択一を迫られる必要がなかったのだ。
薬さえ無ければ、血に狂う化け物と化して残虐な罪を犯すこともなかったはずの者たち。粛正の憂き目に遭ったとしても、薬さえ無ければ少なくとも人として葬られることは叶ったはずだ。
「……そんな薬を、作った人の…娘なのに……仲間に、なんて……」
なれるはずも。
最後の言葉は音にならなかった。
千鶴は奥歯を噛みしめた。
ざ、と地面に両手をつき砂利を掴んだ。
土と露を含んだ砂利は白い手を汚した。構わずに握り締める拳の中から、ぎちりと砂利が不快な音を立てる。
詰めていた息を一気に吐き出すと、周囲までが白く霞んだ。

刻は過ぎ八つ時も終わろうかという頃合いになると、薄闇が墓石の合間に紛れ込み始めた。
自分の手拭いで石碑を磨いた千鶴は、再び墓石の前に膝をついていた。
隊士たちの冥福を祈り、父と薬と新選組に関してまとまらぬ想いを巡らせ、墓の掃除をし、やることが無くなってしまってもまだ、千鶴はそこを立ち去ることが出来ないでいた。
膝をつき、両腕をだらりと脇に下ろしてぼんやりと石碑を見つめる。片手には湿気た土埃にまみれた矢羽柄の手拭いを持ったままだ。冷え切っている上に手拭いが含む水分で更に体温を奪われ、その指先は汚れた柄のように鈍い赤に変色していた。
「……とうさまの、せいで……」
指先の色に反して声には全く色がなかった。
白くなる息に紛れた声は彼女の口元だけをかすめて霧散した。
他の誰の耳にも届かなかったはずのその声を、だが彼女の背後で拾った者がいた。
「おかげで、とも言えるけどね。山南さんの左腕は動くようになったんだから」
千鶴は首だけを僅かに動かして声の主を視界の端に収めた。
薄い笑いを浮かべた沖田がそこに居た。
「こんなところでこんな時間まで何してるのかな。お墓参り? そこに居るのは君を殺そうとした隊士たちなんだけど」
敷石の上を綺麗に歩いて、沖田は千鶴の隣に立った。千鶴は彼と視線を合わせようとはせず、僅かに巡らせていた首を元に戻した。
「……そうですけど……」
相変わらず千鶴の声は感情が抜け落ちたようだった。
「あの人たちを……変えてしまったのは…父の薬です……」
彼女の口から白い歪(いびつ)な塊りが幾つも立ち昇る。
それを、苛立たしげに吐いた沖田の溜息がかき消した。
「君さ。自分が子供なんだってこと、もっと理解しようよ。綱道さんの研究も隊士たちの選択も、君が責任を負うことじゃないし負えるわけもない。それよりも君がしなければいけないことが他にあると思うんだけど」
沖田の声が容赦なく千鶴に降る。
それを身じろぎもせずに全て受けて、千鶴はぽそりと呟いた。
「父様を、探す……」
「そのために生かされてるってこと、忘れてないよね」
笑みの気配の無い沖田の声に、千鶴は細く細く、長く、息を吐いた。
「そうですね……」
ようやく千鶴の声に感情が乗った。
苦い色だった。
千鶴がゆらりと身を起こす。
立ち上がろうとして──だが膝が上手く伸びなかった。
体勢が崩れた。

後ろ向きに倒れかけた千鶴を沖田は反射的に抱きとめた。
小柄な彼女は沖田の腕の中に収まり、それでもまだ沖田の懐には余裕があった。倒れかけた勢いのまま傾いた首筋は細く、肩は薄く、その身は軽かった。
沖田は少し目を細めた。
千鶴をそっと引き上げて立たせ、両腕で支える。
千鶴は沖田の腕の中に収められたまま、抵抗する素振りを見せなかった。
沖田は少し身をかがめた。
湿気をおびて氷のように冷たい千鶴の頭に頬を乗せると、前髪が降りてきて沖田の顔を隠した。
「……君はさっさと綱道さんを見つけて、ここを出て行くべきじゃないかな」
千鶴が今まで耳にしたことがないほど優しい声音で沖田は言った。声に混じる呼気がふわりと白くなる。
「君がここを出ても新選組の秘密を漏らすなんて、もう誰も思ってないよ。後はきっと……新選組が、悪いようにはしない」
千鶴の返答は無かった。
沖田は顔を上げ、千鶴が立っていられるかどうかを確認しながら、彼女を囲っていた腕をゆっくりと解いた。
その場に立った千鶴は、何か考えているのかただ憂いているのか判然としない瞳を足元に落としていた。
沖田は小さく息をついた。
千鶴の手から手拭いを抜き取る。そして空いているほうの手を千鶴の頬に添えた。
「──もうすぐ、夕飯だから。早く戻りなよ」
体温を残すように。
或いは、離すのを惜しむように。
沖田の手は千鶴の頬の上で少しの逡巡を見せ、そして離れていった。
返答をするでもなく沖田を見送るでもなく、千鶴は足元に視線を落としたまま、暫くそこに佇んでいた。

屯所に戻った沖田は井戸で水を汲むと洗い桶に千鶴の手拭いを放り込んだ。
無造作に片手を突っ込んで一瞬、動きを止める。
指先で手拭いをつまんで桶から引き上げた。
手拭いのほうが冷たかったのかもしれない。井戸水の温度は、寒い時分には温かく感じられるものだ。
沖田は滴る水を無表情に眺め、そして、両手で手拭いを洗い始めた。
それから間もなくして沖田が洗った手拭いを絞り桶の水を流していると、縁側に文箱を持った斎藤が通りかかった。
「……総司」
井戸端の沖田に、斎藤が声を掛けた。
「ん? もうすぐ夕飯だって、伝えてきたけど?」
振り返り、誰に、とは言わず。千鶴を呼びに行かせた張本人に沖田は笑顔で返答した。
沖田の笑顔に対し、斎藤は怪訝そうな眼差しを無言で沖田の手元に向けた。赤い矢羽柄の手拭いはどう見ても沖田のものではあり得ない。
沖田は更ににこやかに笑った。
「あ、これ? 千鶴ちゃんのだよ。彼女、自分を殺そうとした隊士たちのお墓を掃除しててさ。偉いよねえ」
ぱん、と空間に叩きつけるようにして手拭いを広げた。沖田と斎藤の間に汚れを落とされた鮮やかな赤い柄が舞う。
斎藤の視界が遮られた刹那。
「ここには似合わない子だよね」
赤、白と、几帳面に並んだ矢羽柄の向こうで沖田が言った。
斎藤は眉を寄せた。
だが、ひらりと裾を下ろした手拭いをたたみ始めた沖田の笑顔は普段と何ら変わらない。
斎藤は小さく息を吐いた。
「──それがお前の考えか」
「ん?」
「雪村の考えは違うようだが」
「……何のこと?」
笑顔で首を傾げた沖田を一瞥すると「本人と話をしろ」と言い置いて斎藤は去った。
醒めた目で斎藤の消えた先を眺める沖田の背を、かすかな風がひやりと撫でていった。


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